昔からスポーツや遊びは子どもの成長に欠かせないものと言われていますが、中には行き過ぎた指導や過度なトレーニングにより、子どもを苦しめる実態も明らかになっています。
そこでユニセフは子どもの健全な成長につながるスポーツ環境を築くために、新たな取り組みを開始しました。

「子どもの権利とスポーツの原則」は多くのスポーツ関連企業・団体から支持を得ており、またイベントではアスリートからのメッセージが子ども達に届けられました。

「子どもの権利とスポーツの原則」イベント

「子どもの権利とスポーツの原則」が発表されたのは、「世界子どもの日」にあたる2018年11月20日のことです。このイベントでは「子どもの権利とスポーツの原則」の概要の説明、専門家によるシンポジウムが行われました。また、スポーツ庁の鈴木大地長官からの祝辞をはじめ、3人の一流アスリートがスポーツを楽しむ子ども達に向けてメッセージを送っています。

マセソン美季氏のメッセージ

まず一人目はアイススレッジスピードレースの選手であるマセソン美季氏です。マセソン美季氏はメデラン元南アフリカ大統領の言葉を借り、スポーツには世界に変革を起こす力があることを訴えました。彼女は交通事故で車いす生活が必要になった体験談と共に、パラリンピックスポーツに対する希望などを語りました。

しかし、現実は物理的な制約以外に、「危ない」、「できない」といった大人の思いこみから、障害を持つ子どもがスポーツをする権利が失われていることが多いです。マセソン美季は日本も例外でないと指摘し、全ての子ども達がスポーツを通じて成長する経験を実現する手伝いをしたいと、ユニセフの考えに賛同していました。

プロ野球界とサッカー界からのメッセージ

発表会では横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智選手と、フランクフルトの長谷部誠選手のビデオメッセージが公開されました。

筒香嘉智選手で、日本のアマチュアスポーツ界で様々な問題が発覚したことに対して、「勝利至上主義」が蔓延していることを指摘しています。重要なことは目の前の結果や大人の自己満足ではなく、子ども達の未来だと主張し、運営体制の見直しの必要性をアピールしました。

参考:DeNAの筒香が日本球界に訴えた強烈な危機感

長谷部誠選手はサッカースクールを開校しており、自身が指導者の立場であります。それを踏まえ、1人の人間として大事なことを伝えながら指導を行い、成長につなげたいと話していました。

参考:長谷部誠サッカースクール

日本ユニセフ協会のイベントでメッセージを届けた3人のアスリートは、スポーツの普及と同時に、子どもの将来を案じた変革を希望しています。そのためなら自分達も協力を惜しまず、1人でも多くの子どもがスポーツを自由に楽しめる環境作りに貢献したいと考えていることが分かりました。

日本ユニセフ協会は何をしている団体?