地方や自治体などのPR 大使は一般募集で採用されるケースもありますが、ユニセフ親善大使は一般人でも任命されるのでしょうか。今回は、ユニセフ親善大使の対象となる人物はどのような人なのか解説していきましょう。
ユニセフ親善大使が任命されるまでの経緯
日本ユニセフ協会が任命する親善大使は、ユニセフが世界中で展開している子どもの権利を守る活動に深い理解があることはもちろん、ユニセフ本部からの承認を得た人しか就任することはできません。ユニセフ活動に対して理解があり、支援活動を積極的に協力できる人を国内大使として任命します。日本ユニセフ協会では、1998年4月に歌手・文化人として幅広い分野で活躍されているアグネス・チャン氏を日本で初めての国内大使として任命しました。2007年4月には日野原重明氏を国内大使として任命、2016年12月には現役プロサッカー選手である長谷部誠氏も就任しています。
また 、日本のテレビ司会者、作家、女優、アーティストなど幅広い分野で活躍している黒柳徹子氏もまたユニセフ親善大使ですが、彼女の場合は日本政府より瑞宝中綬章や文化功労者として称され国際大使として選ばれた代表的人物です。このように、ユニセフ親善大使は多方面で活躍し知名度や好感度が重視された有名人が主に任命されるようになっています。従ってユニセフ親善大使は、誰でも就任できるものではないということが理解できるでしょう。
国内でユニセフ親善大使になった著名人
【黒柳徹子】
黒柳徹子さんは1933年8月9日に東京で生まれで、2018年の誕生日には85歳を迎えます。父親はヴァイオリニスト、母親は声楽家であり、彼女自身も東京音楽大学のオペラを専攻し、卒業しています。他の兄弟もヴァイオリニストやバレリーナと芸術一家でした。卒業後はオペラ歌手に向いていないことに悟り、東京の劇団とニューヨークで演劇とダンスを学んだようです。
日本でテレビが放送される1953年から女優1号としてデビューしており、女優としての活躍は高く評価されています。紅白歌合戦を始め、音楽番組や自身のトーク番組の司会も多数経験しており、現在はマルチタレントとして現役で活動しています。
トットちゃんの由来
黒柳徹子さんの愛称といえば「トットちゃん」で、自身の自伝やドラマのタイトルでも使用されています。なぜそのような愛称になったのか、気になる方も多いでしょう。今では想像がつきませんが、彼女は幼い頃問題児と扱われてしまい、小学1年生で地元の学校を退学させられ、トモエ学園に転校することになりました。(実際はADHD児だったと自身の著書である「窓際のトットちゃん」に記載されています。)その当時、まだ舌足らずだったために「徹子」という名前を「トット」と発音していたことが由来しているようです。
ユニセフ親善大使に任命された理由
ユニセフ親善大使としては最古参のメンバーである黒柳徹子さんですが、任命された理由は子どもに対する愛情の強さや、生涯を持つ人、環境に対して幅広く貢献活動や実績を挙げたからのようです。数多くの国々に訪問し支援活動を行っていますが、自身も戦争体験を経験していることから、内戦や地雷の恐怖、飢えや孤独も理解しており、ユニセフを多くの人々に知らせたという思いが活動の糧になっているようです。世界中で恵まれない地域や子ども達のために支援活動が行われていますが、黒柳徹子さんは80歳を過ぎた今でもユニセフの普及に力を入れています。
【長谷部誠】
ユニセフ親善大使に就任している長谷部誠選手は、2001年にJリーグ「浦和レッズ」に入団し、その8年後ドイツのプロサッカーリーグのアイントラハト・フランクフルトに所属し現在に至ります。親善大使に就任するきっかけは、飛行機に乗った際たまたま手にとった1枚のユニセフの封筒でした。
そこには国内地域で取り組んでいる活動内容や世界の子どもたちに起きている現状が書かれていて、自分にも何かできることがないかと考えユニセフの支援活動に協力することを決意します。世界の子どもたちへの支援を長年サポートし続けた結果、2016年12月24日に日本ユニセフ協会大使として就任しました。
ユニセフ親善大使の任務の目的とは
1954年に世界的なコメディアンのダニー・ケイさんが最初のユニセフ親善大使に任命され、その後も世界で活躍する著名な俳優や歌手、アスリート選手などがユニセフ親善大使に任命されるようになりました。そして、日本では長谷部誠選手が任命され活動しています。
ユニセフが親善大使を任務する最大の目的は、才能や業績、知名度を活かしより多くの人たちに支援活動への関心を持ってもらうためです。マスメディアを通した広告活動や紛争地域や被災地への訪問、政界への働きかけなどを活動内容としています。
長谷部誠選手の主な活動内容
では、長谷部誠選手はユニセフ親善大使としてどんな活動をしているのでしょうか。
- 2010年9月…ユニセフCMを通じて世界の子どもたちへの支援をPR
- 2011年5月…東日本大震災チャリティイベント「PASS THE MESSAGE」を開催
- 2011年6月…著名の印税やイベント収益金を被災した子ども達に支援2012年6月…アフリカ干ばつ募金で集まっ
- た資金を被災地に贈呈2013年3月…ユニセフ協力CMをJALの国内・国際線全便で放送
- 2014年12月…スマトラ沖地震で被災したバンダ・アチェを訪問
- 2015年2月…新しい公共CM「被災地で、世界で、子どもたちにやさしいまちづくりを」公開2016年12月…日本
- ユニセフ協会大使に就任
- 2017年5月…ワクチンを届けるためにエチオピアを訪問
長谷部誠選手は、日本ユニセフ協会大使に任命後、数々の支援活動を通してユニセフの輪を広めています。給料がどのくらい発生しているかを調べてみたのですが、下記によるとユニセフ親善大使は無報酬でユニセフの活動に協力しているそうです。
ユニセフ親善大使は、世界の子どもたちが直面する問題を訴え、子どもたちへの支援を呼びかけるため、全くの無報酬で、ユニセフの活動に協力くださっています。
引用:ユニセフを応援する著名人の方々
なので、日本ユニセフ協会大使である長谷部誠選手も同様に無報酬で活動に協力しているのではないでしょうか。
関連記事:日本ユニセフ協会大使の長谷部誠さんとは?
【アグネス・チャン】
アグネス・チャンさんは1955年8月20日に香港で生まれ、2018年で63歳を迎えます。中学・高校時代は香港島の高級住宅街にあるカトリック系のメリーマウント中學を卒業しました。その後は上智大学からトロント大学へ留学しており、さらに1989年にはスタンフォード大学で教育学博士号を取得しています。とても向学心の強い方であることが分かるでしょう。14歳の頃に香港で歌手デビューを果たし、1972年には日本でもデビューを果たし、ブームを巻き起こしました。香港・日本に留まらず、台湾やアメリカでも音楽活動を積極的に行っています。
ボランティア・文化活動にも積極的
アグネス・チャンさんがボランティアや文化活動を取り組みはじめたのは、1985年に開かれた北京でのチャリティーコンサート以降のようです。エチオピアで飢餓に苦しむ地帯の取材をはじめ、様々なボランティア活動に参加するようになりました。1998年には日本ユニセフ協会の大使に就任しておりタイやスーダン、東西ティモールなど様々な国の視察に訪れ、世界の現状をマスコミでアピールしていました。
日本ユニセフ協会大使からアジア親善大使へ
日本ユニセフ協会大使に就任してから、2003年には終戦直後だったイラク、その2年後にはスーダンのダルフール地方へ訪問しています。現地に訪れたことで、アグネス・チャンさんは平和に対する思いが強くなったようです。その後は唾液腺腫瘍と初期乳がんの病に侵されるものの、無事に乗り越えて復帰後は100か所以上で平和コンサートを開き、その活動が評価されて第50回日本レコード大賞では特別賞を受けました。
日本ユニセフ協会大使としてインドや中国、ソマリアなどの国にも視察で訪れ、子どもの権利を保護する活動を行いました。東日本大震災の時も香港でチャリティーイベントを開催したり、被災地の訪問をしたりと国内の支援活動にも積極的です。そして、2016年から日本ユニセフ協会大使を経て、今までの功績から国連機関がアジア親善大使に任命しました。
テレビでは人気歌手、インテリタレントというイメージの強いアグネス・チャンさんですが、若い頃から数々のボランティア活動を行っていました。それが日本をはじめ、やがて世界にも認められたことで、アジアを代表する大使に選ばれたのではないでしょうか。世界で活躍する彼女は平和に対して強い思いを抱いており、これからも各地で支援活動によりユニセフを広め続けていくことでしょう。
国外でも親善大使になった著名人が支援を訴えている
日本でユニセフ親善大使に任命された方は、上記でご紹介した通りです。では、国外のユニセフ大使はどのような方々が就任されているのでしょうか。
【アメリカ】
- アリッサ・ミラノ(女優・写真家)…2003年就任
- ルーシー・リュー(女優)…2005年就任
- デイル・ハドン(モデル・女優)…2007年就任
- タイソン・チャンドラー(バスケットボール選手)…2013年就任
- ピンク(歌手)…2015年就任
【イギリス】
- ロビー・ウィリアムズ(シンガーソングライター)…2000年就任
- ライアン・ギグス(サッカー選手)…2006年就任
- マイケル・シーン(俳優)…2014年就任
- キーリー・ホーズ(女優)…2016年就任
【イタリア 】
- パオラ・サルッツィ(エンターテイナー)…2006年就任
- アンジェラ・フィノチアーノ(女優)…2012年就任フランチェスコ・トッティ(サッカー選手)…2003年就
- 任
【スペイン】
- セルヒオ・ラモス(サッカー選手)…2014年就任
- フェルナンド・アロンソ(F1ドライバー)…2005年就任
【韓国】
- イ・ビョンホン(俳優)…2003年就任
- シン・ギョンスク(作家)…2012年就任
- ウォンビン(俳優)…2007年就任
まとめ
元サッカーイタリア代表のトッティ選手やサッカースペイン代表のセルヒオ・ラモス選手、F1ドライバーのアロンソ選手など日本でも有名な人達も含まれていますね。この他にも数多くの国々で国内大使が任命されていますが、どの人にも共通して言えることは俳優や歌手、スポーツ選手など活躍を称賛されている人物であるということです。一人でも多くの子どもたちを救い、世界中が安心して穏やかな生活が送れるよう今後もユニセフの活動の強力なサポーターとして貢献していくことでしょう。